日証金,株信用取引手数料つり上げ10年

信用取引手数料つり上げ10年、日証金に改善命令へ
 証券金融最大手「日本証券金融」(東京都中央区)が、株の信用取引の際に投資家が負担する「品貸料(しながしりょう)」を不当につり上げていたとされる問題で、金融庁は14日にも日証金に対し旧証券取引法(現・金融商品取引法)に基づいて業務改善命令を出す。

 証券取引等監視委員会の調べによると、日証金は10年近く前からこうした価格操作を続けていたといい、同庁は公益、投資家保護の両面で同法に違反すると判断した。

 証券監視委は今年6月に日証金の検査に着手、すでに同社を行政処分するよう金融庁に勧告している。

 信用取引は資金や株を借り、保有していない株を売買する仕組み。日証金は、株を借りたい投資家と株を保有する法人などの間に入り、株の貸借取引を仲介している。この際、投資家が株を借りた相手に支払う手数料が品貸料で、価格は日証金が取り仕切る入札で決まっている。日証金はこの入札で、法人の代理として参加した証券会社に高めの価格を提示するよう依頼し、落札価格をつり上げていた。品貸料を受け取る法人側は利益を得るが、投資家は余計な負担を強いられていたことになる。

 監視委によると、こうした行為は担当者の間で引き継がれ、少なくとも10年近く前から繰り返されていたという。日証金側は監視委に対し、価格操作を恒常的に続けていた事実を認め、目的を「貸株が調達できないと信用取引が停止するため、不測の事態を避けるためにやった」などと説明しているという。

 金融庁は、日証金が投資家に不利益となるつり上げ行為に、複数の証券会社を巻き込んでいたことを重く見て、処分が不可欠と判断した。日証金は監視委の検査を受けた後、価格操作を中止している。

 証券金融会社は、日証金のほか大阪証券金融大阪市)と中部証券金融名古屋市)があるが、監視委はほかの2社については品貸料つり上げの事実が確認できなかったとして、勧告を見送る方針だ。

 証券金融会社は金商法に基づく免許業者で、証券取引所の規則で運用されている制度信用取引に伴う株の貸借取引を取り扱う。日証金は東京、福岡、札幌、ジャスダックの4証券取引所を担当している。

(2007年12月14日3時3分 読売新聞)