日興コーディアル上場維持

(3/13)日経「日興、上場廃止へ」報道の経緯
 日本経済新聞は2月28日付朝刊で「東京証券取引所日興コーディアルグループ株を上場廃止する方向で最終調整に入った」と報じました。

 これに対し東証は3月12日、日興株の上場を維持する決定をし、13日付で上場廃止の可能性を周知する「監理ポスト」から解除することを決めました。本紙報道と東証の決定が違った経緯を説明します。

 日興は昨年12月に過去の決算で利益を水増ししていた不正会計が発覚し、金融庁から5億円の課徴金納付命令を受けた。これを受けて東証は同18日付で、日興株を「監理ポスト」に割り当てた。

 日興は不正会計の経緯を明らかにするため弁護士らで構成する「特別調査委員会」を設置。調査委は旧経営陣らへの聞き取り調査などをし、その結果「旧経営陣の一部が主体的に関与していた」と判断、「不正会計は組織的」とする調査結果を1月30日に公表した。

 日興は2月27日、有村純一前社長ら3人を対象に総額31億円の損害賠償を請求する訴訟を提起する方針を決定した。また同日、不正会計のあった過去の決算を訂正した有価証券報告書を関東財務局に提出した。

 この間、本紙は東証や行政当局筋などの複数の関係者に取材した。東証幹部は2月23日、「日興の財務責任者が不正会計に関与しているなら、十分に組織的」として、日興が上場廃止基準に抵触する可能性を指摘した。

 同24日には別の東証幹部は「(上場廃止にするかどうかの判断を左右する)多くの法律家の意見をとったが、全部が上場廃止だった」と答えた。また不正会計を主導した日興の旧経営陣など主な関係者に対して、東証の聞き取り調査がほぼ終わったことも分かった。

 日興が訂正有価証券報告書を提出した2月27日には行政当局筋は「(訂正報告書の提出後でも)廃止の方向は覆らない」と明らかにした。

 本紙報道後の3月6日、日興と同社株の4.9%を保有する米金融大手シティグループは共同で記者会見を開き、米シティが1株1350円で日興株を公開買い付け(TOB)し、子会社にする方針を発表した。

 以上のような取材をもとに本紙は上場廃止について、十分な根拠を得たため、2月28日付で「日興上場廃止へ」と報道しましたが、東証は12日、最終的に「組織的に行ったとまでは確証が持てない」などとして上場維持を決定しました。この決定までの経緯も含め、今後とも本紙はこの問題について詳細に取材、報道していきます。